
昨年秋に個展を開かせていただいた古民家
スタジオ・イシワタリさんへ、ご挨拶方々春の
イベントの打ち合わせに行ってきました。4月
に行う出張芋乃市場の打ち合わせです。
画像は、お茶を出して下さった土瓶。今は亡き古民家の住人であった
オーナーのおば様が使っていらしたものらしいですが、中々に品の
良いもので、しげしげと見せていただき、京焼きだろうと診ました。
土は白く細かめでたぶん信楽のものでしょう、ロクロは端正で無駄が
なく蓋の合わせもきっちりしています。ツル掛けは細いながらもしっか
りと作られ、でも心持ち曲げて蓋の上げ下げに邪魔にならぬ心憎い
配慮がありました。下絵付けは呉須と鉄の麦わら手、蓋の赤地は刷毛
ムラ一つなく、職人の技が冴えています。相対バランスのとれた良い
仕事の土瓶です。さらにとても大事に使っていらっしゃたのでしょう、
使い込まれているもののキズ一つない状態。亡き持ち主様の気配りが
見てとれました。細かい貫入に入り込んだ茶渋が年季の深みを醸し、
茶慣れた風情が何とも骨董心をくすぐります。
こういった良いものを見ると、やはり物は使わなければいかんなぁと
思います。でも、これだけ丁寧に使って味を出すには、がさつな粗忽
者には不可能なこと。亡き使用者の方の品位が忍ばれます。不肖の
私の作品もこのように愛してくださる方に縁付いて欲しいものですが、
その前にこれほど愛される品物を作れるようにならねばと、この土瓶
に教わったように思います。
恐るべし、京都の職人! 更に恐るべし、鎌倉の通人!
こういうことがあるから、人生は楽しいです。
posted by かまなりや at 18:45|
焼きもの