2017年09月13日

 てるのゆ


昨日伺った小岩の 『照の湯』 について、少々詳しくレポートいたします。築60年に及ぶ建物はかなり傷み、そこここに瑕疵が否めませんが細部に贅を尽くした造りは素晴らしく、それほどこのお湯屋には博物館的な価値があると思うからです。


入り口は広々として、両側には水槽が設置されています。江戸川は金魚の町ですから、和金などが泳いでいたかはたまた珍しい熱帯魚などを泳がしていたものでしょうか。靴脱ぎ両側の下駄箱の数も多く、とにかく広々としています。


がらりと木の引き戸を開けて中に入れば番台は総タイル張り、見上げる格天井は最上格式の『折上げ格天井』で、壁際の曲がった造りは宮大工さんでもなければできない仕事です。男湯と女湯の仕切りには丸太が使われ、テッポウ柱をイメージさせます。


洗い場に入れば、壁際のカランの合間に何とふた島のカラン場、それも間のスペースにはゆったりとした間隔がとってあります。浴槽も三槽で広々としています、真ん中にはビーナス像が。男湯と女湯の仕切りには細かなタイル絵が施してあり、ここにもかなりのお金がかけてあります。惜しむらくはペンキ絵がなく、画竜点睛を欠いている感は否めませんが、いずれどんと富士の絵を描いて欲しいものです。

総じて角ばった印象がなく、番台や浴槽にアーチ構造が愛用されているのはここを建てた羽黒山関の心意気でしょうか。今後老朽化が進めばいずれはこの湯屋も閉める日が来てしまうのでしょうけれど、開いているうちにせっせと通ってこの昭和の湯屋の佇まいを五感で味わっておきましょう。これだけの骨董的銭湯はそうそう味わえますまい、まさに文化財的お湯屋さんです。

画像は、グーグルのインドアビューから拝借しました

posted by かまなりや at 19:00| 養生話・献血・湯屋