益子春の陶器市も無事に終わり、黄金週間連休明けの繁忙に紛れて「あっ」と気がつけば早5月も終わろうとしています。日毎に更新頻度が間伸びしているこのブログですが、辞める気はありませんので気長にお付き合い願います。

画像は益子の若手作家高橋歩惟(たかはしあい)さんの職人魂を感じる五寸皿です。径はピタリ15cm、微妙な誤差はありますが下の画像を見ていただくと分かる通りビタっと揃っていて重ねも申し分無し。色違いを2枚づつ6枚購入した画像上から灰立て釉単味、右は見込み白化粧外側に黒釉、左は化粧刷毛目に飴釉、何れも所謂民芸様式の作風ですがキチッとした仕事に惚れ惚れします。

今年は民芸100年に当たります。時代が変わって民芸という概念も成熟し、今では陶芸の一様式として認識されたように思います。柳宗悦さんが提唱した『職人が日々たくさん作る物に健康な美が宿る』という当初の概念は100年という時間を経て『作家が意識的に民芸様式を咀嚼して表現する健康な美の一様式』に進化したと思います。高橋さんは島根県のご出身、出西窯で修行された後に益子で修行し、民芸様式を踏襲して作家活動をしておられます。
昨今、きれいに重なる安価な陶器は100円ショップや新興の家具屋さんで山積みで売られています。鋳込みという成形技法が確立されて工業的にコストを抑えて作れるようになりました。この技術革新も頗る歓迎すべきものですが、職人さんが手間暇をかけて作る手仕事にどうにも心が動かされてしまいます。子供の時分からお団子を焼く職人さんや、鯛焼きを焼く職人さんなどの手仕事を飽かず眺めていたものですが、今でもお酒を嗜みながら動画サイトで職人さんの手仕事を見るのが大好きです。
民芸はそうした手仕事の尊さ美しさを見事に芸術に昇華してくれた様式だと思います。若い方がこの路線を進むことを心から応援しつつ、その中からまた新しい美意識が成熟する未来を切望して止みません。